コンテンツ知的財産論 (大阪工業大学・知的財産学部)
講義概要 第3講: 各種コンテンツとその保護 ⑵
プログラムおよびデータベースに関する権利につき,特に著作物性なきプログラムやデータベースの保護に留意しつつ検討する。
概要
- [1] コンピュータ・プログラム
- ①プログラムの意義(特許2条4項,著2条1項10号の2,不競2条6項)
- ⑴電子計算機(コンピュータ)を機能させる(=演算処理をさせる)
- ⑵一の結果を得ることができる
- ⑶指令(コマンド)の組み合わせ
- ※著作権法では「表現」が要件
- ※注:データ≠プログラム
- ②プログラムの法的保護
- ⑴著作権法(10条1項9号)
- ※著作物としての要件(思想・感情+創作性+表現)充足が必要(2条1項1号)
- ※プログラム著作物の侵害は創作性ある部分について判断する
- 裁判例
- ▼東京高決平1・6・20 判時1322号138頁〔システムサイエンス事件〕
- あるプログラムがプログラム著作物の著作権を侵害するものと判断し得るためには,プログラム著作物の指令の組み合わせに創作性を認め得る部分があり,かつ,後に作成されたプログラムの指令の組み合わせがプログラム著作物の創作性を認め得る部分に類似していることが必要である〔。〕すなわち,プログラムはこれを表現する記号が極めて限定され,その体系(文法)も厳格であるから,電子計算機を機能させてより効果的に一の結果を得ることを企図すれば,指令の組み合わせが必然的に類似することを免れない部分が少なくないものである。
- ⑵特許法
- ※発明としての要件(自然法則+技術的思想の創作)充足が必要(2条1項)
- ※特許要件(産業上利用可能性+新規性+進歩性)充足(29条)および不特許事由(32条)に該当しないこと
- 裁判例
- ▼知財高判平17・9・30 平成17年(ネ)第10040号〔一太郎ヘルプ・ボタン事件控訴審〕

- 〔アプリケーションのヘルプ機能に係る情報処理装置及び情報処理方法に関する〕本件発明……は,〔引用の〕発明及び周知の技術事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから,本件発明に係る本件特許は,特許法29条2項に違反〔するものとして〕特許無効審判により無効にされるべきもの〔であり,ゆえに〕特許権者である被控訴人は,同法104条の3第1項に従い,控訴人に対し,本件特許権を行使することができない〔。〕
- [2] データベース
- ①データベースの意義(著2条1項10号の3)
- ⑴情報(例:論文・数値・図形)の集合体
- ⑵電子計算機(コンピュータ)を用いて検索できるように体系的に構成したもの
- ②データベースの法的保護
- ⑴著作権法(12条の2)
- ※情報の選択または体系的な構成によって創作性を有する
- ⑵特別法での,または特別な権利としての保護(sui generis)
演習
- 創作表現保護法としての著作権法は電子情報を保護する法として十全に機能するか,考えてみよう。
- 創作性のない電子情報を現行法の枠組みにおいて保護するにはどのような解釈・運用によるべきか,また立法的解決を図った場合にどうなるか(新たな問題が生じるか等も含めて),検討しよう。
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