情報法(法情報学): 第2講
法とその他の社会規範
- 法
- 政治的に組織化された社会における規範で,客観的強制力がある。
- 慣習
- ある社会の構成員間で反復継続して行われてきた行動型(=慣行)が,その構成員において拘束力を生じるようになったもの。「地域」や「業界」という社会での規範だが,客観的強制力は必ずしもない。もっとも「村八分」のような何らかの強制力・拘束力が生じる場合はある。
- 道徳
- 必ずしも政治的組織としての社会におけるものではなく,また強制力がないか,かなり低い。「社会人として如何」などと非難されるまで。
- 宗教
- 政治的組織としての社会におけるものではない。また「破門」などの強制力も必ずしも客観的なものではない。
法の種類
主な「法」を掲げると次のとおり。
- 憲法
- 国の最高法規で,すべての法令は憲法に適合しなければならない。
- 法律
- 立法権が制定する法。
- 命令
- 行政権が制定する法。主に法律の施行のために具体的な手続等を定める。
※法律・命令を「法令」と総称する。法令の参照は「法令集」(いわゆる「六法」)を用いるのが通常だが,最近ではウェブでも 法令データ提供システム があり,さらには高機能携帯端末用のアプリケーション等があって便利である。
- 条例
- 地方公共団体(自治体)が制定する法。法律の範囲を超えることはできない。
また,法の淵源として以下のものがある。
- 慣習法
- 上記「慣習」に法としての効力(客観的強制力)が認められたもの。
- 判例法
- 裁判における先例(=判例)が法として機能する。わが国では通常,最高裁判所による法令解釈のみが「判例」とされる。
- 条理
- 事物の理(ことわり)。道理。民事の争訟にあってそれを規律する「法令」も「慣習法」「判例法」もない場合に最後の拠り所になるとされる。
法令の読み方
- 法令名(題名)
- 法令名には,正式名称,略称,略号がある。
正式名称 略称 略号 私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律 独占禁止法 独禁 風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律 風俗営業等規制法
風俗営業法風営 航空機の強取等の処罰に関する法律 ハイジャック防止法 ハイジャック 国際的な協力の下に規制薬物に係る不正行為を助長する行為等の防止を図るための麻薬及び向精神薬取締法等の特例等に関する法律 国際麻薬取締法 国際麻薬 高度情報通信ネットワーク社会形成基本法 IT基本法 IT 特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律 プロバイダ責任制限法 プロバイダ - 法令として成立した際に,その年と個別の番号からなる識別符号がつけられる(改正でも同様)。
- 法令名には,正式名称,略称,略号がある。
- 条・項・号
判例・裁判例の読み方
- 識別の方法(記号)
- (1)最 (2)判 (3)昭45・7・24 (4)民集24巻7号1116頁
- (1)東京地 (2)決 (3)平9・7・22 (4)判時1627号141頁
- (1)水戸家土浦支 (2)審 (3)平11・2・15 (4)家裁月報51巻7号93頁
(1) はその裁判が行われた裁判所を指す。“最”は最高裁判所(特に大法廷の裁判は “最大” とも表記する),“東京地”は東京地方裁判所,“水戸家土浦支”は水戸家庭裁判所土浦支部など。
(2) は裁判の種類。“判”は判決,“決”は決定,“命”は命令,“審”は審判。
(3) はその裁判が行われた日付。通常は和暦(元号)により中黒(・)を使って記述する。
(4) はその裁判が掲載されている判例集等を意味する。「最高裁判所裁判集 民事」を“民集”,「最高裁判所裁判集 刑事」を“刑集”,「知的財産権民事・行政裁判例集」を“知的裁集”,「判例タイムズ」を“判タ”などというように略号で表す。また判例集等に掲載されていないものは事件番号を併記することもある。
- 内容の読み方(当事者の主張,裁判所の判断)
この講座では本講の後 知的財産法第1講 および 同第2講 ならびに コンテンツ知財論第6講 の内容を準用します。
