不正競争防止法 (大阪工業大学・知的財産学部)
2009年度 試験問題
2010年 1月 18日 実施
参照許可物等: 何でも可(通信機器を含む)
- [1] 次の各設問について,その内容が正しいと思われるものには○を,誤っていると思われるものには×を,それぞれ解答欄に記しなさい。 (3点×20=60点)
- ⑴ 裁判例によれば,携帯型ゲーム機であるニンテンドーDS用のゲーム・プログラムを複製して microSD カードに格納したプログラム(通常では実行不可能である)をニンテンドーDS本体において実行可能にさせる,いわゆる「マジコン」と称する装置を輸入・譲渡等する行為は,不正競争防止法2条1項10号に該当するものとされる。
- ⑵ 不正競争防止法2条1項14号に掲げられた行為について,不正競争防止法上の罰則はないが,その行為が刑法上の信用毀損罪に該当する可能性はある。
- ⑶ あるドメイン名(その使用者の氏名とは異なるもの)を図利加害目的でなく使用していた場合であっても,そのドメイン名が他人の商品等表示に類似していて当該他人の商品と混同を生じさせるおそれがある場合は,不正競争となる。
- ⑷ 競争関係にある他人の信用を結果的に害する内容の告知・流布をしたとしても,それが主観的な意見・見解である場合は,不正競争とはならない。
- ⑸ 不正競争防止法18条は,外国公務員等に対する不正利益の供与等を禁止しているが,国際オリンピック委員会(IOC)は民間ベースの機関であるため同条2項4号にいう「国際機関」に該当せず,ゆえに IOC 委員に対して,その職務に関する行為をさせることを目的として金銭等を供与したとしても,同条の適用はない。
- ⑹ 不正競争防止法17条は,国際機関の標章を商業上使用することを禁じ,これに罰則を科しているが,国際オリンピック委員会(IOC)は民間ベースの機関であるため同条の「国際機関」には該当せず,ゆえに IOC の標章を商業上使用しても,同条の適用はない。
- ⑺ 営業秘密の要件としての「秘密管理性」については,従業員数や事業規模が小さく(少なく)なればなるほど,書棚の施錠等のアクセス制限の基準が緩やかになるとされている。
- ⑻ 図書券による代金決済を可能とする組織の加盟店でない書籍販売業者が,現金の代わりとしての図書券とその商品である図書とを引き換える行為は,不正競争行為となる。
- ⑼ 相当の労力・費用をかけて他人が作成したソフトウェアの著作物性のない部分をコピーして,作成者の販売地域と競合する地域で害意をもって無償頒布する行為は,著作権侵害とはならないが,著しく不公正な手段を用いて他人の法的保護に値する営業活動上の利益を侵害するものであるから,不正競争となる。
- ⑽ オーストラリアから輸入した牛肉に輸入・販売業者が「滋賀県産・近江牛」と表示する行為は,食品衛生法およびJAS法によって規律されるので,不正競争防止法の適用はない。
- ⑾ いわゆる比較広告において「自社製品が他社製品より優れている」旨の表示をすることについて,その根拠となっている科学的実験の合理性が証明できない場合は,当該表示が当該自社製品の品質を誤認させるものとして,不正競争防止法2条1項13号の不正競争行為となる。
- ⑿ Aの製造・販売に係る商品の形態が商品等表示として周知性を獲得したが,その後永年に渡り類似形態の商品が多数の業者から継続的に販売された結果,A商品の形態が出所表示性を失った場合には,A商品と同一または類似の形態の商品を譲渡等しても不正競争とならない。
- ⒀ 不正競争防止法2条1項10号および11号に掲げられる不正競争行為に対しては,不正競争防止法上の罰則はないが,例えば,視聴者において受信契約をせずとも CATV の有料チャンネルが見られるようにするチューナーを譲渡等する行為については,当該チューナーに PSE マークが付されていない場合など,電気用品安全法違反となる可能性がある。
- ⒁ 一般に,不正競争防止法2条1項3号にいう「商品の形態」には商品の内部構造は含まれないが,内部構造が外に現われ,その内部構造に需要者が注目する商品の場合には,当該内部構造もまた商品の形態の構成要素に当たるものということができる。
- ⒂ 営業秘密の不正開示については,当該営業秘密を取得した後にその営業秘密に不正開示があったことを知った者が使用・開示する行為も,不正競争となる。
- ⒃ 工業薬品メーカーが新製品開発のために行った実験の失敗例は,事業活動に有用なものではないから,それが秘密として管理された非公知の情報であったとしても,不正競争防止法上の営業秘密であるとはいえない。
- ⒄ 不正競争防止法2条1項各号に具体的に掲げられていない行為であっても,それが実質的に公正な競争秩序や競争者の利益を害する行為であれば,不正競争防止法の適用がある。
- ⒅ 世界的に著名な服飾ブランドと同一の名称を,下町の小さなスナックに用いたとしても,誤認混同が生じていない以上不正競争とはならない。
- ⒆ 不正競争防止法2条1項1号および2号にいう「商品等表示」について,条文において具体的に掲げられているのは「人の業務に係る氏名,商号,商標,標章,商品の容器若しくは包装」であるから,商品それ自体の形態がこれに該当することはない。
- ⒇ B社は,競争相手であるC社の取引先に対して,C社の製品がB社の特許権を侵害するものであるから当該製品に係る取引を中止するよう警告の告知をしたが,実はC社製品はB社の特許権の技術的範囲に属さないものであった。この場合において,B社の告知内容は虚偽の事実であるから,その告知行為はいかなる事情があろうとも不正競争防止法2条1項14号所定の不正競争行為となる。
- [2] 次に掲げる語句を簡単に説明しなさい。 (10点×4=40点)
- ⑴ 営業秘密
- ⑵ 技術的制限手段
- ⑶ 商品の形態
- ⑷ ドメイン名
以上です。
2,979,750
http://www.sekidou.com/
制作者に連絡する