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コンテンツ知的財産論: 第6講

情報流通プラットフォーム対処法

情報流通プラットフォーム対処法の趣旨

高度情報通信ネットワーク社会

流通する情報により誰かの権利・利益が侵害されたとき

→情報流通を担ういわゆる「プラットフォーム事業者等」を一定条件下で免責してその自由な活動を促すとともに,膨大な量の情報流通を媒介する「大規模プラットフォーム事業者」には迅速な対応と運用状況の透明化を義務づける。

法令

沿革

2001年(平成13年法律137号,平成14年5月27日施行)
特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律=プロバイダー責任制限法
2013年(平成25年法律10号改正,平成25年5月26日施行)
公職選挙の候補者等に係る侵害情報についての発信者に対する免責の特例(3条の2=現4条)を定めた。
2021年(令和3年法律27号改正,令和4年10月1日施行)
発信者情報開示に係る情報の種類を増やし,発信者情報開示命令事件を非訟事件とした。
2024年(令和6年法律25号改正,令和7年4月1日施行)
改題:特定電気通信による情報の流通によって発生する権利侵害等への対処に関する法律情報流通プラットフォーム対処法

用語等

特定電気通信(情報PF 2条1号)
不特定の者に受信されることを目的とする電気通信の送信(放送のように公衆により直接受信されるものは除く)
特定電気通信設備(情報PF 2条2号)
特定電気通信の用に供される電気通信設備(ハードウェアに限られない)
特定電気通信役務提供者(情報PF 2条4号)
特定電気通信設備を用いて他人の通信を媒介し,その他特定電気通信設備を他人の通信の用に供する者 (=プラットフォーム事業者等
発信者(情報PF 2条5号)
特定電気通信役務提供者の用いる特定電気通信設備の記録媒体に情報を記録し,または当該特定電気通信設備の送信装置に情報を入力した者
侵害情報(情報PF 2条6号)
特定電気通信による情報の流通によって自己の権利を侵害されたとする者が当該権利を侵害したとする情報
発信者情報(情報PF 2条10号)
侵害情報の発信者の特定に資する情報で総務省令(施行規則2条)所定のもの
  • ⑴ 発信者その他侵害情報の送信または侵害関連通信に係る者(=発信者等)の氏名または名称
  • ⑵ 発信者等の住所
  • ⑶ 発信者等の電話番号
  • ⑷ 発信者等の電子メールアドレス
  • ⑸ 侵害情報の送信に係る IP アドレス
  • ⑹ 侵害情報の送信に係る移動端末設備(携帯電話端末)からのインターネット接続サービス利用者識別符号(通信事業者の ID など)
  • ⑺ 侵害情報の送信に係る SIM 識別番号
  • ⑻ 上記⑸を割り当てられた電気通信設備または⑹もしくは⑺に係る移動端末設備から侵害情報が送信された年月日および時刻(=タイムスタンプ
  • ⑼ もっぱら侵害関連通信に係る IP アドレスおよびこれと組み合わされたポート番号
  • ⑽ もっぱら侵害関連通信に係る移動端末設備からのインターネット接続サービス利用者識別符号
  • ⑾ もっぱら侵害関連通信に係る SIM 識別番号
  • ⑿ もっぱら侵害関連通信に係る SMS 電話番号
  • ⒀ 上記⑼を割り当てられた電気通信設備または⑽,⑾もしくは⑿に係る移動端末設備から侵害関連通信が行われたタイムスタンプ
  • ⒁ 発信者等の利用管理符号(ISP 間での識別符号,回線番号,ICCID,顧客管理番号等)

※上記のうち⑼~⒀は情報流通プラットフォーム対処法5条1項・2項の「特定発信者情報」となる

侵害関連通信(情報PF 5条3項,施行規則5条)
侵害情報の発信者が当該侵害情報の送信に係る特定電気通信役務の利用(開始)または利用終了のために行った一定の識別符号等の送信(ログイン/ログアウト通信,SMS 認証のような認証通信,セッション ID,アクセストークンなど)
大規模特定電気通信役務提供者(情報PF 2条14号,施行規則8条)
以下のいずれにも該当するプラットフォーム事業者等で,総務大臣が指定する者(=大規模プラットフォーム事業者
    • ⒜ 発信者およびそれ以外の国内利用者が年間平均で一月あたり1000万を超えるもの,または
    • ⒝ 発信者の延べ人数が年間平均で一月あたり200万を超えるもの
  • ⑵ 当該特定電気通信役務の一般的な性質に照らして侵害情報送信防止措置を講ずることが技術的に可能であること
  • ⑶ 下記のいずれにもに該当しないこと
    • ⒜ 不特定の利用者間の交流を主たる目的としたものでないもの,または
    • ⒝ 不特定の利用者間の交流を主たる目的とするが上記⒜にもっぱら付随的に提供されるもの

※2025年5月末時点で大規模特定電気通信役務提供者として以下の者が指定されている(事業者名 : サービス名)。

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情報流通プラットフォーム対処法の概要

関係図

プラットフォーム事業者等の免責要件

発信者情報開示

大規模プラットフォーム事業者の義務

情報流通プラットフォーム対処法関連の裁判例

同法施行前の事例

同法に関する事例