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知的財産法: 第11講

著作権等の侵害

著作権等の侵害

著作者人格権・著作権・出版権・実演家人格権・著作隣接権の侵害に対する救済等は以下のとおり

カラオケ法理

直接侵害またはみなし侵害には該当しないが,侵害行為を教唆・幇助したり,その機会・場・手段などを提供したりすることについての責任が問題となる場合がある。これを 間接侵害 または 寄与侵害 という。この問題についてわが国においては,飲食店で客が愉しむカラオケの演奏・歌唱の主体が当該飲食店であるとする,いわゆる「カラオケ法理」がある。

間接侵害規定を設けるべきか

著作権に対する直接侵害行為を幇助したり,その手段や場を提供したりするなどの行為を侵害とする(みなす)規定,いわゆる間接侵害規定を著作権法に設けるべきか否か,という議論がある。実際,イギリス1988年著作権・意匠・特許法(CDPA1988)には「二次侵害(secondary infringement)」に関する規定があり,侵害複製物の取引に関与する行為と著作権を侵害する複製物の作成・実演に関与する行為とについてこれらを差止めの対象になりうるとしている(もっともこれは二次侵害とされる行為をする者の「著作権侵害の認識」が要求される)。

インターネット上のサービスに関する著作権等侵害にあっては,直接侵害者であるユーザー等に個々に責任追及するよりも当該サービス提供者を間接侵害者としてこれに責任追及できるとなれば,その相手方を把握することが容易になるなど訴訟経済の点においても合理的とされる。

他方間接侵害を明文によって責任ありとすることは,著作物ないしコンテンツを利用するさまざまなビジネス,とりわけ新しいビジネスに対して侵害責任のリスクを増大させるおそれがあり,そうしたビジネスを現に手掛け,あるいは手掛けようとする事業者を必要以上に萎縮させる危険性を孕んでいる。

関連事例

なお,テレビ放送がすべて(地上波・BSCS)デジタル方式となっている現在のわが国においては,テレビ受信機や録画機が DTCP-IP が使用される DLNA 対応機器であれば,上記「ロクラクⅡ」のように,サーバー(親機)たる受信機等にクライアント(子機)たる他の受信機・PC・スマートフォン等からネットワーク(インターネット)経由でアクセスして,宅内はもとより宅外でも放送・録画されたコンテンツを愉しむことができる(対応機種等については Wikipedia の DTCP の項目などを参照)。これは,デジタル技術によってコンテンツの複製や再送信に放送局のコントロールを及ぼすことが可能となったゆえである。

一連の知的財産法の講義に関連して「コンテンツ知的財産論」の 第8講 および 第9講 もご参照ください。