知的財産法(知的財産権入門): 第5講
著作権法概説
著作権制度の特徴
- 保護の対象は「著作物」とその「創作」
- さらにそうした著作物を伝達する者の創作に準ずる精神的活動や経済的投資を保護する(著作隣接権等)
- 権利発生や権利行使に係る手続は一切不要
著作物の要件
- 思想または感情の
- 創作的な
- 表現で
- 文芸,学術,美術または音楽の範囲に属するもの
- (定義)
第2条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
- 一 著作物 思想又は感情を創作的に表現したものであつて、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものをいう。
- 二~二十三 〔略〕
2~9 〔略〕
- (著作物の例示)
第10条 この法律にいう著作物を例示すると、おおむね次のとおりである。
- 一 小説、脚本、論文、講演その他の言語の著作物
- 二 音楽の著作物
- 三 舞踊又は無言劇の著作物
- 四 絵画、版画、彫刻その他の美術の著作物
- 五 建築の著作物
- 六 地図又は学術的な性質を有する図面、図表、模型その他の図形の著作物
- 七 映画の著作物
- 八 写真の著作物
- 九 プログラムの著作物
2 事実の伝達にすぎない雑報及び時事の報道は、前項第一号に掲げる著作物に該当しない。
3 第一項第九号に掲げる著作物に対するこの法律による保護は、その著作物を作成するために用いるプログラム言語、規約及び解法に及ばない。この場合において、これらの用語の意義は、次の各号に定めるところによる。
- 一 プログラム言語 プログラムを表現する手段としての文字その他の記号及びその体系をいう。
- 二 規約 特定のプログラムにおける前号のプログラム言語の用法についての特別の約束をいう。
- 三 解法 プログラムにおける電子計算機に対する指令の組合せの方法をいう。
- (編集著作物)
第12条 編集物(データベースに該当するものを除く。以下同じ。)でその素材の選択又は配列によつて創作性を有するものは、著作物として保護する。
2 前項の規定は、同項の編集物の部分を構成する著作物の著作者の権利に影響を及ぼさない。
- (データベースの著作物)
第12条の2 データベースでその情報の選択又は体系的な構成によつて創作性を有するものは、著作物として保護する。
2 前項の規定は、同項のデータベースの部分を構成する著作物の著作者の権利に影響を及ぼさない。
- (権利の目的とならない著作物)
第13条 次の各号のいずれかに該当する著作物は、この章の規定による権利の目的となることができない。
- 一 憲法その他の法令
- 二 国若しくは地方公共団体の機関、独立行政法人(独立行政法人通則法 (平成十一年法律第百三号)第二条第一項 に規定する独立行政法人をいう。以下同じ。)又は地方独立行政法人(地方独立行政法人法 (平成十五年法律第百十八号)第二条第一項 に規定する地方独立行政法人をいう。以下同じ。)が発する告示、訓令、通達その他これらに類するもの
- 三 裁判所の判決、決定、命令及び審判並びに行政庁の裁決及び決定で裁判に準ずる手続により行われるもの
- 四 前三号に掲げるものの翻訳物及び編集物で、国若しくは地方公共団体の機関、独立行政法人又は地方独立行政法人が作成するもの
著作物と似て非なるもの
- アイディア,仕組み等
表現のもととなるアイディア,ゲームのシステム等の仕組み,ドラマのプロット(枠組み,構成),推理小説のトリックなどは,表現とは言えない(ただし,具体的な表現にまで至っている場合は著作物たりえる。)。
- 技巧,技法,雰囲気
絵画や音楽における技巧・技法や,作風・雰囲気なども具体的表現とは言えない。
- キャラクター
「キャラクター」とは,漫画・アニメーション・小説などに登場する人物や動物などについて,その名称・姿態・容貌・性格・役柄その他の特徴の総体として,読者等によって一定のイメージ(印象)として感得されるもの,また,そのようなイメージを生成するものとして創作されたものを言う。最判平9・7・17 民集51巻6号2714頁(ポパイ・ネクタイ事件上告審) は,「一定の名称、容貌、役割等の特徴を有する登場人物が反復して描かれている一話完結形式の連載漫画においては、当該登場人物が描かれた各回の漫画それぞれが著作物に当たり、具体的な漫画を離れ、右登場人物のいわゆるキャラクターをもって著作物ということはできない。けだし、キャラクターといわれるものは、漫画の具体的表現から昇華した登場人物の人格ともいうべき抽象的概念であって、具体的表現そのものではなく、それ自体が思想又は感情を創作的に表現したものということができないからである」と判示してキャラクターそれ自体の著作物性は否定している。
しかしながら,あるキャラクターが用いられている著作物の著作権者に無断で当該キャラクターを利用して別の表現をなすことは,元の著作物の著作権(複製権または翻案権)の侵害を構成するとされる(実質的に元の表現を複製・翻案したものと解される)。
著作権の始期・終期
著作権の始期
- 著作物を創作した時(注:「完成した時」ではない)
著作権の終期
- 著作者の死後50年(原則)
- 無名または周知でない変名の著作物: 公表後50年
- 団体名義の著作物: 公表後50年(創作後50年以内に公表されなかった場合は創作後50年)
- 映画の著作物: 公表後70年(創作後70年以内に公表されなかった場合は創作後70年)
- (保護期間の原則)
第51条 著作権の存続期間は、著作物の創作の時に始まる。
2 著作権は、この節に別段の定めがある場合を除き、著作者の死後(共同著作物にあつては、最終に死亡した著作者の死後。次条第一項において同じ。)五十年を経過するまでの間、存続する。
- (無名又は変名の著作物の保護期間)
第52条 無名又は変名の著作物の著作権は、その著作物の公表後五十年を経過するまでの間、存続する。ただし、その存続期間の満了前にその著作者の死後五十年を経過していると認められる無名又は変名の著作物の著作権は、その著作者の死後五十年を経過したと認められる時において、消滅したものとする。
2 前項の規定は、次の各号のいずれかに該当するときは、適用しない。
- 一 変名の著作物における著作者の変名がその者のものとして周知のものであるとき。
- 二 前項の期間内に第七十五条第一項の実名の登録があつたとき。
- 三 著作者が前項の期間内にその実名又は周知の変名を著作者名として表示してその著作物を公表したとき。
- (団体名義の著作物の保護期間)
第53条 法人その他の団体が著作の名義を有する著作物の著作権は、その著作物の公表後五十年(その著作物がその創作後五十年以内に公表されなかつたときは、その創作後五十年)を経過するまでの間、存続する。
2 前項の規定は、法人その他の団体が著作の名義を有する著作物の著作者である個人が同項の期間内にその実名又は周知の変名を著作者名として表示してその著作物を公表したときは、適用しない。
3 第十五条第二項の規定により法人その他の団体が著作者である著作物の著作権の存続期間に関しては、第一項の著作物に該当する著作物以外の著作物についても、当該団体が著作の名義を有するものとみなして同項の規定を適用する。
- (映画の著作物の保護期間)
第54条 映画の著作物の著作権は、その著作物の公表後七十年(その著作物がその創作後七十年以内に公表されなかつたときは、その創作後七十年)を経過するまでの間、存続する。
2 映画の著作物の著作権がその存続期間の満了により消滅したときは、当該映画の著作物の利用に関するその原著作物の著作権は、当該映画の著作物の著作権とともに消滅したものとする。
3 前二条の規定は、映画の著作物の著作権については、適用しない。

