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情報関連法 (東京情報大学・総合情報学部・経営情報学科)

2003年度 授業計画


講義のねらいと概要

IT(情報技術)が急激に発展しつつある今日の高度情報化社会においては,さまざまな情報が大量・瞬時に,かつシームレスに行き交うことになります。本講義では,情報が法的にいかなる位置にあるか,具体的には,情報に関していかなる法的問題があるのかを検討します。

特に,トレード・シークレット(営業秘密),商標,営業表示(ドメインネームを含む)など,近時経営戦略に積極的に用いられる知的財産としての情報の保護や,コンピュータないしインターネット上での取引に関する問題,情報モラルに関する問題など,新しくなおかつ社会問題としても大きく扱われる事項を取り上げていく予定です。

到達目標

本講義で扱うような比較的目新しい事象に関する法的問題については,しばしばその本質が見失われて事実問題,社会問題あるいは技術的問題の視点のみから語られることがあります(例えば,ピア・ツー・ピア技術は単に是か非かなどのように)。ここではあくまでリーガル・マインドに根ざした見方・捉え方を養うことによって本質的な理解を促し,またそうすることで受講生の視野を拡げて,逆に本来の専攻である経営学等の視点からの考察にフィードバックさせることを目的とします。

講義の方法

授業回ごとにテーマを定めて講義形式で進めていきます。なお受講生においては,この科目またはここで取り上げる各テーマに対して興味・関心を持ち,授業に積極的に取り組むことが肝要です。当方としても,受講生の興味を惹くような授業を展開することに努力を惜しまない所存ですが,受講生自らがその姿勢を見せてくれるよう希望せずにはいられません。

テキスト・参考図書

講義録が担当者のウェブページに掲載されていますので,各自入手しておいてください(http://www.mars.dti.ne.jp/~kos/)。

また,法律科目ですから法令集(六法)を必携すべきことはいうまでもありません。授業においては頻繁に条文を参照させますから,法令を見ることなく受講するのは積極性を欠くといわざるをえませんし,ましてやこれを携えずに受講するなど論外です。受講生においては,関係法令が収録されている法令集を各自購入するか(どの法令集を購入すべきかわからない場合は当方が最初の授業でアドバイスします。),あるいはウェブで関係法令条文を入手する等しておいてください。

評価の方法

学期末に実施する筆記試験を中心に,授業に対する興味や積極性を加味して評価します。試験については,短答式と論述式を併用したものを予定していますが,詳細は第1回の授業内にて適宜説示します。

他の科目との関連及び受講上の注意

他のすべての法律科目を履修していることが望まれます。とりわけ,本科目では私法上の法益として情報を捉える機会が多くなりますから,一般法たる民法関連の各科目(契約法,担保法,損害賠償法)の履修は前提となります。これらの科目の未履修者が本講義を履修することまでをも妨げるものではありませんが,その場合は他の科目をも並行して履修するか,さもなくば独学で履修者と同程度の知識を備えるよう努めてください。

講義計画/各回の講義テーマ

  1. 情報と法との関わり

    保護法益としての情報の意義,情報が無体物であることに由来する特性および情報に関していかなる法的問題があるのかについて俯瞰します。

  2. 知的所有権(1)

    技術情報・文化情報に関する権利としての知的所有権が各国の産業・文化政策と密接に関連する点に留意しつつ,これに含まれる様々な権利を俯瞰します。

  3. 知的所有権(2)

    知的所有権に含まれる具体的な権利,すなわち工業所有権,著作権等を取り上げ,これらの権利を目的とするライセンス契約についても考察します。

  4. プログラムの法的保護

    現代的情報の象徴ともいうべきコンピュータ・プログラムの法的保護(著作権法および特許法による保護)について,その問題点を考察します。

  5. 表示の法的保護

    商号・商標および商品等表示の保護について考察します。また,インターネットにおけるドメインネームの問題についても取り上げます。

  6. 営業秘密の法的保護

    営業秘密(トレード・シークレット)の意義・要件,侵害の態様およびこれに対する法的救済について考察します。

  7. 企業情報開示の問題

    企業の経営情報を開示することの意義と,いかなる企業・情報について法令が開示を義務づけているのか考察します。

  8. 情報公開制度

    情報公開制度を俯瞰し,さらに公開の原則と例外としての不開示事由(とりわけ個人情報および企業情報を中心として)との関係に焦点を当てて考察します。

  9. 個人情報保護

    個人情報(個人識別情報)を保護することの意義および個人情報に関連する保護法益としてのプライバシーとパブリシティについて考察します。

  10. 電子商取引に関する問題

    インターネット環境の発達に伴って激増した電子商取引の意義とこれについていかなる法的問題があるかを考察します。

  11. 製造物責任と情報提供

    製造物責任制度の概要を俯瞰し,これにおける責任要件のひとつである「欠陥」に情報の提供に関するものが含まれる点に留意して考察します。

  12. 情報モラルとサイバー犯罪

    匿名性の高い電脳空間においてとりわけ重要となる倫理上の問題と,これに対する法規制がいかなる役割を果たすのかについて考察します。

  13. 最新の法的問題

    情報関連法分野での最新の事例(裁判例)を紹介し,考察します。

  14. 予備日程/試験




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