知的財産法(知的財産権入門): 第4講
特許権と実施権
特許権
- 設定登録によって権利が発生
- 特許出願の日から20年で権利は消滅(保護期間の満了)(最大5年延長可)
- 特許権者は業として特許発明の実施をする権利を専有する
- (特許権の設定の登録)
第66条 特許権は、設定の登録により発生する。
2~4 〔略〕
- (存続期間)
第67条 特許権の存続期間は、特許出願の日から二十年をもつて終了する。
2 特許権の存続期間は、その特許発明の実施について安全性の確保等を目的とする法律の規定による許可その他の処分であつて当該処分の目的、手続等からみて当該処分を的確に行うには相当の期間を要するものとして政令で定めるものを受けることが必要であるために、その特許発明の実施をすることができない期間があつたときは、五年を限度として、延長登録の出願により延長することができる。
- (特許権の効力)
第68条 特許権者は、業として特許発明の実施をする権利を専有する。ただし、その特許権について専用実施権を設定したときは、専用実施権者がその特許発明の実施をする権利を専有する範囲については、この限りでない。
- 実際には他人に実施をさせてその対価を得るのが現実的。
実施権
特許発明を業として実施する権限。設定行為(契約)または法律の規定により発生。
- 専用実施権
設定行為で定めた範囲内であれば,その実施権者のみが業としての特許発明の実施をすることができる。
特許権者でさえ実施することはできなくなる。 - 通常実施権
業として特許発明の実施をする債権的権限。
- 約定通常実施権
- 法定通常実施権
- 先使用による通常実施権(79条)
- 職務発明による使用者の通常実施権(35条1項) など
- 裁定(強制)通常実施権
- 不実施の場合の通常実施権(83条2項)
- 公共の利益のための通常実施権(93条2項) など
- (専用実施権)
第77条 特許権者は、その特許権について専用実施権を設定することができる。
2 専用実施権者は、設定行為で定めた範囲内において、業としてその特許発明の実施をする権利を専有する。
3~5 〔略〕
- (通常実施権)
第78条 特許権者は、その特許権について他人に通常実施権を許諾することができる。
2 通常実施権者は、この法律の規定により又は設定行為で定めた範囲内において、業としてその特許発明の実施をする権利を有する。
- (先使用による通常実施権)
第79条 特許出願に係る発明の内容を知らないで自らその発明をし、又は特許出願に係る発明の内容を知らないでその発明をした者から知得して、特許出願の際現に日本国内においてその発明の実施である事業をしている者又はその事業の準備をしている者は、その実施又は準備をしている発明及び事業の目的の範囲内において、その特許出願に係る特許権について通常実施権を有する。
- (不実施の場合の通常実施権の設定の裁定)
第83条 特許発明の実施が継続して三年以上日本国内において適当にされていないときは、その特許発明の実施をしようとする者は、特許権者又は専用実施権者に対し通常実施権の許諾について協議を求めることができる。ただし、その特許発明に係る特許出願の日から四年を経過していないときは、この限りでない。
2 前項の協議が成立せず、又は協議をすることができないときは、その特許発明の実施をしようとする者は、特許庁長官の裁定を請求することができる。
仮実施権
特許を受ける権利に基づいて,仮専用実施権を設定し,または仮通常実施権を許諾することができる。
その特許出願について特許権設定登録があった場合には,上記の仮専用実施権または仮通常実施権を有する者に,専用実施権の設定または通常実施権の許諾があったものとみなされる(34条の2~34条の5)。
職務発明
職務発明の要件と効果
- 使用者と従業者の関係(実質的な指揮・命令・監督)があること
- 発明が使用者の業務範囲に属すること
- 発明をするに至った行為が従業者の現在または過去の職務に属すること
→ その発明が特許を受けたときは,使用者は通常実施権を有する(デフォルト)
職務発明のオプション
- 契約・勤務規則により使用者に特許権を承継させた場合,
- または使用者に専用実施権(仮専用実施権)を設定させた場合
→ 従業者は相当の対価の支払を受ける権利を有する
※この「相当の対価」が問題となった裁判が相次ぎ,法改正がなされた。
- (職務発明)
第35条 使用者、法人、国又は地方公共団体(以下「使用者等」という。)は、従業者、法人の役員、国家公務員又は地方公務員(以下「従業者等」という。)がその性質上当該使用者等の業務範囲に属し、かつ、その発明をするに至つた行為がその使用者等における従業者等の現在又は過去の職務に属する発明(以下「職務発明」という。)について特許を受けたとき、又は職務発明について特許を受ける権利を承継した者がその発明について特許を受けたときは、その特許権について通常実施権を有する。
2 従業者等がした発明については、その発明が職務発明である場合を除き、あらかじめ使用者等に特許を受ける権利若しくは特許権を承継させ又は使用者等のため仮専用実施権若しくは専用実施権を設定することを定めた契約、勤務規則その他の定めの条項は、無効とする。
3 従業者等は、契約、勤務規則その他の定めにより職務発明について使用者等に特許を受ける権利若しくは特許権を承継させ、若しくは使用者等のため専用実施権を設定したとき、又は契約、勤務規則その他の定めにより職務発明について使用者等のため仮専用実施権を設定した場合において、第三十四条の二第二項の規定により専用実施権が設定されたものとみなされたときは、相当の対価の支払を受ける権利を有する。
4 契約、勤務規則その他の定めにおいて前項の対価について定める場合には、対価を決定するための基準の策定に際して使用者等と従業者等との間で行われる協議の状況、策定された当該基準の開示の状況、対価の額の算定について行われる従業者等からの意見の聴取の状況等を考慮して、その定めたところにより対価を支払うことが不合理と認められるものであつてはならない。
5 前項の対価についての定めがない場合又はその定めたところにより対価を支払うことが同項の規定により不合理と認められる場合には、第三項の対価の額は、その発明により使用者等が受けるべき利益の額、その発明に関連して使用者等が行う負担、貢献及び従業者等の処遇その他の事情を考慮して定めなければならない。
