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Legal Notice

関堂幸輔 ― 法的事項に関するドキュメント


著作権について

個人が作成・公開しているウェブ頁の中には,それが営利目的でない(趣味で行っている)ことを理由に,自分の頁において他人の著作物を無断で利用することも憚らない旨公言するものがしばしば見受けられます。これは,他人の著作物を利用することによって自分が経済的利益を得ていないから著作権者には損失が生じていないのだという解釈によるものと思われますが,この理屈は明らかな誤りといわざるを得ません

確かに,著作権には一定の制限が設けられており(30条以下),営利を目的としない上演などは著作権者の許諾なしにできるとされています(38条)。しかし,複製や公衆送信(送信可能化を含む)については営利・非営利は問題となりません。ましてや,ウェブで公開する以上「私的使用目的」(30条)ではありませんし,評論や紹介などの必然性がない以上「引用」(32条)にもあたりません。結局,著作権者にしてみれば,上記のような無断利用行為によって,本来正しく利用してもらって対価を得るという機会を失っている,つまり自分の著作権を侵害されているわけですから,そのような無断利用者が営利目的であろうとなかろうと,その者に対して差し止めや損害賠償を請求することができるのです。

未来の著作権法制のあり方について理想を語るのは結構ですが,現在の法解釈まで曲げてしまうことには感心できません。それに,単なる思いつきや主観で得手勝手なことを述べるのではなく(もっとも,客観的な論理に基づく斬新な着想まで否定するものではありません。),現在の法制がどうなっているのかという正しい理解と,なぜそのような法制になっているのかという沿革についてもできれば勉強したうえで,未来を語っていただきたいものです。

免責条項について

ウェブ頁で,「このサイトによってあなたがいかなる損害を受けようとも,当方は一切責任を負いません。」という趣旨の注意書きをよく目にすることがあります。このような“免責条項(escape clausula)”は,アメリカで契約条項のひとつとしてしばしば用いられるもので,最近は日本人もマネをして使うことが多いようです。しかし私は,「いかなる責任も負わない」という全面的免責条項はそもそも効力がないと考えます。

その明確な根拠として,平成 12年に制定された消費者契約法 8条の規定をあげることができます。すなわち同条は,事業者の債務不履行や不法行為により消費者に生じた損害を賠償する責任の全部または一部を免除する条項を,無効であると定めています。確かに,同法条は事業に関する契約を律するもので,必ずしもウェブにおける情報提供者と情報受領者との間にも適用されるものではないかもしれません。しかし,こうした特別法の規定を待つまでもなく,全面的免責条項はそもそも公序良俗違反により無効である(民90条)と解するのが妥当でしょう(ただし,契約ないし意思表示全体を無効とするのではなく,合理的範囲を超える分について無効と解するのが相当でしょう。)。

ですから,ウェブでの情報提供によって閲覧者に損害が生じた場合には,一般の債務不履行や不法行為の法理に従って賠償責任の有無を判断すべきものと考えます(もっとも,具体的に損害がどの程度か,あるいは情報提供と損害との間に因果関係があるかどうかなどの挙証が困難と思われる点など,検討すべき課題はあります。)。

リンクについて

ウェブ頁とは,厳密にいえば複数のファイル(主に HTML によって記述ないし印付された文書ファイル)がアンカーによってハイパーリンク(連結)されているものでして,これによってまるで「頁をめくるように」ファイルを閲覧することが可能となるわけです。いわばウェブ頁の醍醐味はリンクにあるともいえるでしょうか。

「無断リンクお断り」とか「リンクをする場合はご一報ください」というような記述をさまざまな頁で目にすることができますが,こうした記述に法的効力はあるのでしょうか―結論からいえば“No”で,リンクを張ること自体は何ら違法な行為ではありません。本来,ウェブというものは世界中の誰もがアクセスできる状態にあるわけですから,そういう場に自ら頁を置いておきながら特定の人のアクセスしか望まないというのはそもそも矛盾していますし,そうしたいのであればパスワードを使うなどしてアクセス制限をすればいいわけです。基本的には,無断リンクが張られてもそれに対して法的制裁(サンクション)を科すということはできません。

しかし,場合によっては違法なリンクというのもあり得ます。例えば,リンクする側のウェブ頁のフレームの中にリンクされる側の頁が表示される場合がそうです。そのような頁では,ブラウザにはリンクする側の URL しか表れませんし,全体の印象としてもリンクされる側の頁がリンクする側のサイト内にあるように見えるわけで,閲覧者にしてみれば頁が誰によって制作されたものかが明確にわかりません。またこれとは別に,リンクされる側で設定してあるパスワードをかいくぐって表示させるようなものも,違法性のあるリンクといえるでしょう。こうしたリンクに対しては,リンクを張られて利益を侵害された側から法的措置をとることも不可能ではないと考えられます(もっとも,違法性あるリンクによって具体的にいかなる権利利益がどの程度侵害されたかを証明することは簡単ではありませんが。)。ちなみに,フレーム内リンクに関してはアメリカで訴訟になった例(“Total News”事件)もありますが,和解で決着しています。

この“Legal Notice”は,特に一般で誤解されることの多い法的事項に関して,法律・法学の分野における常識と研究者としての見解を述べたものです。実は,ほかに頁を開設している友人から,このようなドキュメントがあったらいいなぁというリクエストを受けたことが作成の発端なのですが,法律・法学に関する啓蒙活動をすることには私もやぶさかではありませんし,そのことに資するという意味において,他の人々がこの“Legal Notice”を引用したり(ただし,出所明示をしてください。),これにリンクを張ることを妨げるものではありません。どうぞご利用ください。

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